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長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。

内部に気になる部分があるのでファインダーを分解してみた。
(実は二回目である)機能自体は正常なので再度分解するという行為で
眠れる虎を起こすことにならなければいいのだが・・・・・

前から見たところ
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_1818109.jpg

後から見たところ
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_181748100.jpg

長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_18182672.jpg

まずは裏側、レンズの絞り値をファインダーに伝える為の連動装置の裏側の
エプロンカバーを外して見る。

EXAKTA66のTTLファインダーはPENTAXの67等と同じく、ボディ側の
機構とレンズとの連動機能を持っている。特にユニークなのがこのレンズとの
連動機構だと言えるのだが、レンズの絞りリングに直接付いているカムの動きで
このピアノの鍵盤のように並んでいる接点釦を順番に押していくのだ。よって
このカムの付いていない同マウントの他社レンズでは測光装置は全く機能しない。
(しかも、C.Z.J製もアーセナル製も絞りリングの回転方向がEXAKTAレンズと逆方向
なのだ)

この鍵盤釦は一つ一つが独立した抵抗をもっており、
よくあるような摺動可変抵抗をなぞるタイプではない。

このファインダーには西ドイツ製と刻印してある。
EXAKTA66ボディには歴代3モデルあって、1型は85年頃に発表されているので
完全に東西ドイツ時代の西側モデルである。 
2型で視野が大いに改良されフレームレスの約52×52ミリの
広いファインダースクリーンを得て、ウエストレベルで90%以上の視野を確保する
ことができた。またシャッターユニットも改良されたようで、シンクロが1/25から1/30に僅かに上がっている
(ちなみに1型の視野はPENTACON SIXとほぼ同じ、故にEXAKTAのスクリーンを入れたP6が出来るのであろう。ドイツのebay等で1型のスクリーンはよく見かける)

3型ではさらに簡易MUP装置が内蔵された。 これは使い方がよく分からなかった
が外国のサイトを翻訳してみると、使い方を誤るとカメラを壊してしまうという
恐ろしいミラーアップ装置で、残念ながら知ってしまうととても使う気になれない。

でもまあ、内部構造(特にシャッター廻り)も進化しているようなので、実用には
2〜3型が一番いいのかも知れない。  
3型は90年代中頃(2000年で終了)に出ているので、完全に統一ドイツ
になってからのボディといえる。 事実ボディにも独逸製としか書いていない
2型は手にしていないので、よくわからないのだが、ファインダーの大幅な改良をしている経緯を考えると統一後のモデルかも知れない。

EXAKTA66に対する私の最大の疑問は視野がアップしたのに伴って
アイレヴェルファインダーの視野率も上げたのか? という疑問である、
私のもっているファインダーはメーター付き、無し含め全て西ドイツ表記のもので、
その視野はP6の視野率に近い70%台しかない。 
折角ボディ側で視野を広くしてもアイレヴェルファインダーが小さいのでは
あまり意味のない仕事となってしまうだろう。。。。
しかし、ドイツ製と表記されたモノにいまだお目に掛かっていないのも事実である。


さて大脱線してしまったが、そんな西独逸製のTTLファインダーの分解を
進めてみよう。  
でも興味のない人もいるだろうから 別枠にしよう。

興味のあるかたは是非下をクリックしてもらいたい。
恐らく本邦初公開の画像かもしれない。内部にもちょっとユニークな
機構があるのだ。



既に前置きが長すぎた・・・

ということで前カバーを外す。(カニ目ビス2本)
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_1819890.jpg

なにやら不思議な機構が見えてきた。下には前出のピアノ鍵盤が並ぶ
レンズ側のカムはこの鍵盤釦を常時2個押しているようだ、それによって
半絞りの情報を得ている。鍵盤釦は絞り値2から32までの9段に合わせて
9つなのだが両側の2個(4個)は下にサブ釦が付いていて
それは開放値3.5から始まるCRUTAGONと32まであるTELE XENARの補助爪に
対応しているようだ。  (これについては今度図解を書いてみようと思う)
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_1820825.jpg

これはファインダー内に露出値(0メソッド)とその時の設定絞り値を
表示するための光学機構であった。向かって左の表示部を右側のプリズムで
90度向きを変えて内部へ送り込むのだ、このファインダーのでこっぱち部分
の主要要素のひとつ。 上に並ぶのは抵抗の調整機構だろうか?
私のようなトウシロはここには絶対手を付けてはならない。
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_18195518.jpg

接眼部横のカニ目ビス2本とファインダーシャッター操作ダイヤルを外して
甲羅(主カバー)を外して全裸にした。 外部表示部とASA感度設定ダイヤルは
基板に直接付いている。
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_18218100.jpg

電源部 電源は6V 4LR44でオッケー(4SR44がなおイイだろう)
赤い配線は捨て線。
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_18214817.jpg

二段の基板とシャッターダイヤルとの連動側、端子が並ぶ。譲ってもらった時には
この端子とボディ側の端子が浮いてしまい接触不良=不作動状態になっていた。
内部はマイナスネジばかりであるがこの2本はアルミ製のよう。
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_1822590.jpg

作動不良を起こしているファインダーシャッター。降ろすと上がらなく
なるので、裏側で固定させてしまう。
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_1822283.jpg

5本のマイナスビスを外して大袈裟な基板と電源部をめくり上げ
やっとその華奢な姿を現したペンタプリズムミラー。
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_18224629.jpg

ペンタプリズムミラー単体。なんじゃ〜この丸窓は!?
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_1822251.jpg

この丸窓の用途。 なんとプリズム内の重要な第二反射面をハーフミラーにして
測光素子に光を導く窓だったのだ!! 光路を下に90度曲げるプリズムが
見えている。
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_18232580.jpg

そのプリズムを外してみると 一個のフォトセルが鎮座しているのであった。
少し曲がって付いているのはご愛敬だが、とにかく一個で間に合わせているのが
妙に潔い。 35ミリのプラクチカ一眼はミラー裏側にプリズムを仕込んで
ミラーボックス内の一個のフォトセルで測光している機種があるのでP6を
兄弟にもつEXAKTAがこのような構造を持っていても不思議ではない。
ところでフォトセルはSPDだろうか?
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_18231998.jpg

今回、ここまでバラす原因となったのがこの2本のモルト。
プリズムミラーの左右の緩衝材に用いられていたのだが、視野内にはみ出して
見苦しかったのだ。それを直す為にこんな危険な処まで来てしまった。
そして・・・・
長編 EXAKTA66のTTLファインダー分解。_b0058021_18233542.jpg

無事完成! と思いきや、やはり虎を起こしてしまったようだ。
(単体での表示はこれで正常である)
テストに開放値f=3.5のcurtagon60を付けても表示が2.8なのだ、試しに
f=4のtele xenar150を付けると3.5の表示。 じゃ2.8のxenotarを付けると
これはちゃんと2.8の表示なのだが絞り値を3.5、4、4,5にすると表示は
エラーになってしまう。

色々考えた末、3番目の鍵盤釦の接触不良ではないかと結論づけたが
その修理になんと二時間も費やしてしまった、参った〜。
しかも肝心のモルトは未だ完全では無かった。まあなんとか視野外にあるので
忘れてしまおう。デリケートなファインダー分解はもうこりごりである。


私は、P6のTTLファインダーは持っていないので、断言は出来ないのだが
ボディ/レンズとの連動機構を除けば、内部構造は似ているのではないかと思う

アナログ針方式ながら内部と外部両方に表示部を持ち、ほぼ同じプリズム
をもっているので、測光方式も近いのではないだろうか? なによりP6は
EXAKTA66のご先祖というか実のお兄さんなのだから、それを改良したと思える。
独自でユニークなピアノ鍵盤式の連動機構は特許逃れのナイスな方法かも知れないが、その樹脂製のパーツは耐久製と堅牢性に大いに疑問がある。

ファインダー内で絞り値が確認出来るので、常用速度を予め1/30〜1/125
くらいに設定しておけば、シャッター優先AE的に撮影出来るので便利なのだが
ナイーブな巻き上げを考えると、ファインダーを覗いたままバシャバシャと
撮るわけにはいかない。実際、外部露出計を用いた撮影でもテンポは極端には
変わらないだろう。それでもこのファインダーを付けたEXAKTA66は格好いい!!
まるでレオパルドIIの外装をまとったT62みたい  なのだ。

測光範囲はどうも平均測光ぽい。 1型と3型ではファインダースクリーンの
明るさが違うので、うちの組み合わせだと1段露出がずれてしまうのであった。
(ASA100フィルムだとASA50に合わせるといい)
by coolys1 | 2005-08-13 00:10 | EXAKTA 66 | Comments(10)
Commented by keita-aoi at 2005-08-13 04:31
すごい!長い!!まめですなぁ。
じぇんじぇんトウシロではございませんわよ・・・。
Commented by c53 at 2005-08-13 06:48 x
先週末にキムラでEXAKTA66をみてから急に気になって、HP渡り歩いておりました。ほすぃ〜
Commented by kbyn7 at 2005-08-13 14:42 x
凄いですね!
とても参考になります。
やはりEXAKTA66欲しいです。
Commented by coolys1 at 2005-08-13 18:23 x
きむらのEX66は1型にビオメター3が付いていますね。ビオメター3はC.Z.J製の光学系をシュナイダーの鏡筒に納めた過渡期の標準レンズですが何故か模写はいわゆるP6用MCビオメターとは異なるようです。(私は持っていない)鏡筒が変わっても最短はやはり1Mです。

それにしても微妙な値付けのようで悩ましいですね。 

そういえば
自分もEX66に初めて触ったのはきむらの委託品でした。悩んだ末に買わなかったら売れてしまって悔しい思いをしましたが、同じものが数ヶ月後に今度はMAPに出たので思い切って買った思い出があります。  そのボディは1型でしたが、XNOTARが付いていました。ボディのみレモンの委託で4万いくらで出してすぐ売れましたので、そのくらいが1型ボディの中古相場でしょう。
Commented by FSX at 2005-08-13 23:04 x
おおお、貴重な資料ですね。
絞り値検出接点や半固定抵抗などは、うぅっと思う造りですが直すのは容易そうです。
(調整をいじるのは止めた方がいいですが)
フォトセルはSPDのように見えます。
Commented by Not-Ake at 2005-08-16 00:07 x
今日、私もキムラで件のEXAKTA66を見てきました。

欲しい方にとってあの価格は委託品と言えど魅力的では?

どなたか善き方に救出されると良いですね。
Commented by 木村こう at 2013-03-25 00:35 x
はじめまして。Exakta66で検索してこちらをみました。
現在も同機種を使用中でしょうか?自分はこちらの機種のアイレベルファインダーとストラップを探しているんです。
都内在住なのですが、なかなか目にすることがなく、苦戦中です。
なにか販売情報等いただけないかと思い書き込みました。突然の書き込み申し訳ありません。
Commented by coolys1 at 2013-03-25 21:24
木村こうさん はじめまして! もしやミクシィのコミュへの書き込みの方ですよね。 
EXAKTA66関係は最近は出物が少ないと聞いております。 イーベイあたりにアンテナを貼るのがイチバンなのかな?
色々あちらのほうへ書いておきましたが、 都内在住ならば、お会い出来ることも出来るであろうかと思います。
ご連絡くだされば中野あたりでどうですか?

Commented by 木村こう at 2013-03-25 23:36 x
こんばんは。ご返信ありがとうございます。mixiで細かいご返信みました。とてもためになります。
うーん、なかなかexakta関連はみつからないですね。e-bayはセカイモンを通じて見ているのですが、出ませんね...
ファインダーについて、いま考えているのはbaierのアダプターを買って、kievのものをつけようかな、と。ドイツ語が怖いですが...
自分は世田谷区に住んでいます。中野であればとても近いです!ぜひ一度お話きかせてください。
HPのURLをのせておいたので、そちらにアドレスもあるのでよろしければメールいただければ幸いです。

木村
Commented by coolys1 at 2013-03-30 16:27
木村こうさま baierいいですね。 日本の方で修理だされた方いますよ。
では4月中旬以降にお会いしましょう。 HPのほうに連絡いたします。 


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