NEF ヘルメットの初デビューは83年の鈴鹿8耐 これまた日本ではお初のelf Endurance racerを操る、C・レリアールが NEFプロトタイプを被ってきた。 NEFのデザイナーは元GPAのデザイナーだったということなので、 80年代前半のF1やモータースポーツシーンでお馴染みのあご紐のないヘルメット、 GPA-type-SJの直系の進化型といえるだろう。 そしてこのelf Endurance racerも当時かなりの革新的な構造で それは構造からBIKE離れしたBIKEだったのだ。 HONDA RS1000のエンジンブロック以外にはメインフレームを持たず、エンジンに 付けた最低限のブラケットでフロントに片持ハブセンターステアのユニットを取付 リアには片持スイングアームユニットを直接取り付けている。 燃料タンクはエンジンの下に吊り下げており、普通なら燃料タンクのある部分、つまり オーバーヘッドカムシャフトの上部に排気系が回るという通常のバイクとは 上下逆のレイアウトとなっている。 タンク(この場合エキゾーストラインカバーだが)からシートカウルまでは FRPの一体のモノコックであり、それ自体でライダーの荷重を受け止める体裁なのだ。 こんな異色の 「elf」は プジョーやトヨタのLe man carの4輪耐久レースカーデザインで有名な アンドレ・ドゥ・コルタンス氏の実験作品に近いもので、elf oilのスポンサーで 作られていたのだ。 ビックリなのは83年当時、4輪でも装着車の少ない新素材のカーボンブレーキディスクを 装備していたといこと。スポンサーの力が判る世界。。。。 elfは最初はTZ750の2stエンジンでスタートし、4stのRS1000に換装し のちに本田の2stエンジンにすることによってelf-2となり、それはもう耐久レーサー ではなく世界GP500のカテゴリーに進出を果たす野心作になった。 しかし、仮想回転軸すら持たずコーナーワークでは前後にスイングさせる。 新しい操舵方式はさすがにやりすぎだったようで、開発ライダーにさえ不評だったらしい。 *本田宗一郎氏がelf2をえらく気に入ってしまって、elfの持つパテントのいくつかを HONDAで取得している。。。。 ここまで書くと、原型として脳裏によぎるのが、21世紀にはいっても尚、世界最高の バイクデザインのひとつである 栄光のBimotaの SB-2 であろう。 SB-2は70年代に同社の創業者であり、天才エンジニアでもあった タンブリーニ技師のアイデアの塊のようなBIKEで 低重心を狙ってsuzukiのGS750のエンジンを載せたクロモリ鋼管のスペースフレームに 吊り下げ式燃料タンクとオーバーヘッドエキゾーストライン。そして、フレーム構造を最低限に 減らせるモノコックボディカバーを披露していたのだ。 (画像は生産型でタンクとエキゾーストは一般的なレイアウトに戻っているが本来ならば リアのウインカーランプ部分が排気口でありラインである。従ってライダーは熱い排気管の 上にまたがってライディングするということなのだが・・・・バイクに燃料噴射もない時代に エンジン下からキャブレターに燃料を送る自体大変だったろうし、熱的にも問題が多いと思われる) 最先端の4輪レース畑のコルタンス氏はもしかしたら、このタンブリーニの アイディアが気に入って、自らのアイデア(4輪の懸架装置の利点を2輪へもたらすという) を重ね合わせて出来たのがelfなのかも知れないと思ってしまう。 たしかに、ステアリングポストの強度を担う上部フレーム構造物を不要とするこの方式は 小さい車体の中でフレームという決して少なくない容積物の大半を省略でき、 さら車体中心にマスの集中を果たせる理想的なレイアウトといえ、水冷エンジンでもラジエターの搭載位置の自由度が一気に高まるという、いいことずくめのシャーシレイアウトだったのだ。 そして同じ83年にはBimota社に入社予定だったイタリアのマルコーニ氏が、 自らの大学の卒業制作もかねてtesiという実験車を作ってしまう。 HONDAのLツインエンジンをメインフレームの一部に使い、フロントに elfで 試されたハブセンターステア(但しテージは片持ちではない)を取り入れてしまったのだ! bimota社はつぶれたりしながらも、このシステムを棄てずにちゃんと市販したのだから 偉いと思う。(市販車はDUCATTIのLツインを搭載) 画像は最終型?のTesi Millennium<まだあったのね〜〜〜っていうか ここまでネイキドだと宇宙戦争のクローン兵みたいだけど。。。 tesiはその革新的なシャーシに対してバランスの取れたボディデザインを 作れなかった代表格だけど、最近のバイク雑誌に日本のオーナーの方が このシャーシにドカの往年の名車、MHRスタイルのボディカバーを被せたカスタムが 載っていた。 そのレトロフィーチャーな感じが似合っていた。 こういう技術は影響したりされたりの面白い世界なのだが、残念なことは ハブセンターステアシステムが結局大型二輪ではポピュラーに ならなかったということだ。(一部のスクーターやサイドカーを除く) elfの画像は83年の別冊モーターサイクリスト誌より拝借。 こちらは現地で私がコンパクトカメラで撮った(写っていた)画像トリミング 実はレース終了後、1〜2週間だったか、elfは西麻布の某ショップの ショーウインドウに展示されていて、私もじっくりと実物を堪能できたのだ (残念なことに写真を撮っていない) -------------------------------------------------------------------------------------------- GPAで始まったチンストラップレスのヘルメットもNEF以上のものが 開発されることなく廃れて久しい。 (Bell=GPAやNOLANで近いコンセプトのモデルは出たが) これは暑い日本の気候に向かなかったということもあるが、閉所恐怖感 の強い装着方法に保守的ながらチンストラップという自由度の高い装着法に 馴染みきっていたユーザーにはちょっと踏み込みにくかったというのが本音でもあろう。 首からの巻き込みが無いと連続高速走行での疲労感はかなり違うが 顎と頭頂部の自由度が高くないので、うまくフィットさせないとかえって 疲れることにもなる。 特に日本では筑波等のサーキットで使用禁止になったのが痛い。
by coolys1
| 2006-02-26 11:43
| Equipment
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Comments(10)
うひょ〜!
懐かしすぎます!うれしい!! R01は私の頭にはベストフィットでした。高速でのリフトも少なく、理想形でした。 そして!elf!!!! これまた大好きなマシンでした。 もちろんTESIも大好きで、実は密かに狙ってます。(笑) いつかはこのシャシーを使ってオリジナルボディを作ってみたいのです。 いやぁ良い物見せてもらいました。elfはネットでもなかなか検索に引っかからないんですよね。 ちなみにSB2ってスイングアームピボットが異常に前のほうにあるんですよね。
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coolys1 at 2006-02-26 23:16
こんばんは、山本さんの為に頑張って作ったコンテンツです 笑
elfはいいですよねー。 正式にはelf-eらしいですね 前年にはボルドー24にもでていたらしいですが、まだまだ 完走のレベルでは無かったみたい。この鈴鹿の時もアット言う間に アルダナが転倒してしまい、残念でした。 山本さん是非、tesi逝ってください。でも幾らくらい?? SBー2のピポットはギアボックスの最終減速ギア (つまりチェーン駆動の一次側)の軸中心を合わせてあります。 これはスイングアームの動きとチェーンの動きをシンクロさせるためのアイデアで、当時タンブリーニが好んで用いていた手法ですね。 HB−1やザ・マルチチューブラーキング「KBー2」等にも採用されていました。 効果云々よりも単純に車体幅が広がるので最近は見ないですね。 elfで一杯やれますね・・・・
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kyo
at 2007-02-25 18:58
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NEF関連のコンテンツを探してここにきました。
RO-1エルブモワノレプリカを未だに使っておりますw 20数年前に購入したものですが、どうしても捨てることができずにいました。 すでにアフターサービスをしてくれる会社もなく、単なるオブジェになっていたのですが、単身赴任を期に自己修復を決意! 無事によみがえりましたぁ! んでもって、エルフですか・・ 斬新なデザインが好きでした。 elfっていうロゴもNEFのロゴと同じよな感じだったので、当時はステッカー張りまくりでした(若かったw) 久しぶりに若き日々を思い出すことができました。 ありがとうございました。
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coolys1 at 2007-02-26 12:04
kyoさん初めまして。
Net web上でも少ないNEFヘルメットの備忘録として掲載しています。 レストアされましたか! RO2も欲しいところですが、、、、入手は困難でしょうね。 僕のグレーメタリックの個体も一応動体保存状態にあります。 (スモーク・クリアーのスペアスクリーン共々) ELFとNEFには格別の思い出があります。
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gogo0606
at 2008-07-29 15:34
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NEF RO-1 Black を所有しています。Kyoさんと同じく検索に次ぐ検索でふらふらとcoolys1さんのブログにたどり着きました。懐かしいですね。今まで思い出した事もなかったのにelfの写真を見た瞬間に学生だった当時の事を思い出しました。四半世紀が過ぎて、戻る事の出来ない時間に一気にタイムスリップした感覚でした。日本から持って来ていたヘルメットは(NEF以外は)、内装のスポンジが砂の様に崩れてしまってショックを受けました。なんか、楽しかった時代が葬られてしまったみたいで、、、それで、なんとなく、知ってるようで良く知らなかったNEF R0−1を素性調査してました(w)。
このページに来てよかったです。青春なんて言葉を使うのは恥ずかしけど、やっぱり、あれは、まあ、一つのそれだったんだなぁ。色々なことがあって楽しかったな、うん。思い出すだけでなんだかウキウキしてます、今。 RO-1は、ほとんど使ってないので、このままキレイにとっておきます。自分の過ごした時代の証しとして。 街乗り用には、ボロボロになってしまったシンプソンをしばらく使って、新しく一個ヘルメットを買い足します(日本製)。 coolys1さん、楽しい時間をありがとうございます。
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coolys1 at 2008-07-30 12:20
gogo0606さん
拙ブログに訪問くださりありがとうございます。 私もRO-1に関しては思い出が深く、当時最初のロットを予約で購入した思い出があります。(ロック部品をリコール扱いで交換した記憶) その白は手放しましたが(理由不明・譲渡先不明)現在のグレーメタは 友人の店で新品を購入しました。 RO-2はやや肉薄で、通気関係が さらに良かった記憶がありますが、とうとう買えませんでした。 ABS帽体のGPA-SJが高速域で口が押しつけられるような感覚が あるのに対してRO-1はそのようなことがなかったです。 gogo0606さんが私の記事で青春の一頁を振り返れたことをうれしく思っております。 検索で年に一度くらい、この古い日記に書き込み頂くとうれしいものです。 調子に乗って近いうちにデティール編をUPすることにします。
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なかむぅ
at 2012-02-06 22:03
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よく知らないまま店の長期在庫になっていたNEFSUD RO-2を購入して早20年…。(まだ被っているなんて言えないっ)
自分の頭にはバッチリ合っているようで、高速時のリフトもほとんど無く長時間被っても平気です。 ただ、あちこちにガタが来てますが… ぐぐってみたらこのブログを見つけまして、嬉しくなってコメントしてみました。ありがたいです。
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coolys1 at 2012-02-06 22:52
なかむぅさん 訪問ありがとうございます。 RO2はRO1を発展させてヴェンチレーションをさらに良くしたヘルメットの印象があります。 そうなんですRO1/2は高速時のリフトが少なく、長時間走行での疲労度が低いいいヘルメットでした。 実は私同じNEFでもジェット型のGP1ももっていますが、そちらはポリカーボネイトでしたね。
RO1のディティール編もお楽しみください。↓ http://coolys.exblog.jp/11945829/
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masashisan
at 2012-03-06 02:13
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coolys1 at 2012-03-08 22:32
まさしさん 私も結婚を機会にCGやCMやRCそして別冊モーターサイクリトなんかをスクラップしました。その時に作ったスクラップブックに選んだ車種などが、いまだに興味深い車種なのは面白い傾向です。
オートスポーツもやっときゃよかったなぁ って思います。 mixiに上げたelf-eは、最近レストアされたブツらしいですねぇ!! 綺麗な訳です。
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