前回 2号機の続きです。 前回レビューを行いましたが、その内に色々とメンテナンスが必要との判断にいたり 初回のテスト燃焼は行わずに ある程度の分解とメンテナンス&オーバーホールを行うことにしました。 今回重要視したのは以下の部分 1.バーナー周り(見るからにかなり年季がはいっていたので) 2.タンクの加圧ポンプ(圧がかからない状態) まずは、バーナー部の予熱皿を外すのですが、、、 このナットなぜか9mmっぽいんですね。 常備している8mmと10mmのBOXレンチでは合いませんでした。 取付形状で考えるとBOXレンチが使いやすいのですが・・・ 仕方がないので、先の細いプライヤー外します。 場所柄、強い締結をしている箇所ではないので助かりましたが、 ドイツ製ストーブのために9mmのBOXも今後用意していたほうが良さそうですね。 バーナー主軸のスタッフィングボルトは、12mmのBOXが使えましたので安心、安全に緩められます。 *写真撮影の為、バーナー部を支えていませんが、実際にはバーナー部と燃料パイプ等の溶接箇所等に 負担がかからないようにしっかり固定または押さえて緩めるのが鉄則ですね。 そして緩めたナットを外すと中のスピンドルシャフトが見えてきます! 黒いカラー状のものが一瞬、グラファイトパッキンかと思いましたが違いました。 これがパッキンを圧縮する金属製のカラーでしたね。 グラファイトパッキンは、パイプ内に完全に固着しており、スピンドルシャフトを抜いても出てきません。 というかシャフトもこれ以上抜けない状態です!! 仕方ないので、特殊工具でシャフトとケースの間に固着したパッキンを耳かきのようにほじくるのですが シャフトやパイプ内側に傷をつけないように慎重に行わねばならず、大変時間が掛かりました。 (プリムス71Lの同じ場所のメンテナンスの時もこの作業が大変でした!) 少しづつ・・・ そしてやっと抜けた、シャフトとパッキンの残骸! スピンドルシャフトもかなり汚れているのと年季の入った状態ですね。 あくまで想像ですが、この部分は数十年間一度も整備したことがないのではないでしょうか? 本来なら、シャフトも新品に交換したほうがいいでしょうが、さすがに交換部品が入手不能なので、 清掃してだましだまし再利用するしかないですが、幸い先端部の状態はさほど悪くないようです。 あと1号機と違いこの個体はスピンドルシャフトの材質が真鍮製ではないみたいです。(鉄系か?) ちなみに下の画像は1号機の分解した時の写真で、 スピンドルシャフトが真鍮合金製(OPTIMUS製品同等の)であることが分かります。 バーナー部の分解が終わったので、一旦終了し、今度は燃料加圧ポンプの分解です。 底部の逆流防止弁(以下、NRV)を付属のマルチスパナを使って外します。 (本来はすべての部品はこのマルチスパナで外せるはずです。 だってドイツ人が考えてるからw) 外し終わった、NRV パッキンゴムは、交換します。スプリングも錆びたり劣化したりしていないようで良かった。 ポンプ部分バラシ完了。 圧のかからなかったポンプカップは意外や状態が良く、革が乾燥していただけのようでしたので リュブリカントを塗布してしばらく置くことにしました。 ポンプシリンダーも燃料にさらされて乾燥して白くなってますが、他機種と同じくどうやら真鍮製のようですね。 そのポンプカップのNRVとの密閉部分。ここの状態の確認も必要です。 ここで漏れると、燃焼時や加圧時にポンプ内部に燃料(ガソリン)が逆流してきますからね! そしてお次は、燃料タンクキャップの安全弁(以下、SRV)の分解。 マルチスパナとBOXレンチを併用して分解。こういう時には厚みの薄いマルチスパナが使いやすいですね。 分解終わったSRV、 こちらもパッキンは交換します。 (スプリングなどは問題なしと判断しました。) 加圧関係のパッキンメンテが終わったので、整備はまたスピンドルシャフトに戻り、 清掃を終えたシャフトに新規にグラファイトパッキンを取り付けます。 (1号機と同じく純正の交換部品がないので市販のグラファイトシートを巻きつけます。) 巻きつけはこんな感じ、シート状のグラファイトパッキンは、少しのテンションですぐに千切れるので ちぎれないギリギリの感じで幾分ゆるく巻きつけます。(春キャベツのような?) 装着後にはナット&カラーでぎゅうぎゅうと圧縮されるので、その時に隙間がなくなるという事ですが、 そのシートパッキンの巻きつけ幅には、ややノウハウが必要で、普通では外したパッキンより3mm〜程度長めにするのがいいですが、 今回のように、元のパッキンが破壊してしまうと標準のサイズ(圧縮後の)分からないのが難点ですので後は勘所!? シャフトも燃焼部分が熱で結構傷んでるのが分かりますね。 先端部は、電動ドリルのチャックにシャフトを挟んで目の細かいヤスリでテーパー部を研磨形成しました。 (まぁ気休めですが) シャフト取り付け前のバーナー本体部分。 今回は外装の状態に合わせて、外部は最低限の清掃に押さえましたが、 シャフトの内部はできるだけ清掃し、長年のカーボンや燃焼汚れを取り除きました。 ジェットニップルも、年式?相応でかなりくたびれてるようで、本当ならばご苦労さんで交換したいんですが、 現在交換部品や互換品がないので(実は一個だけ持ってますが)全体清掃とジェットホールの清掃で様子見します。 整備の終わったスピンドルシャフトを装着します。 シャフトのグラファイトパッキンは無理なく入るくらいの巻です。 12mmのBOXで締め付けていきます。この時には時々スピンドルシャフトを回してみて パッキンの圧縮と、シャフトの回転の塩梅を調整するのですが、締め付けすぎるとシャフトの回転がどんどん硬くなりますので、 実際に火力調整時に難儀になります。 でも緩すぎると、燃焼時に燃料が漏れてきますので、なかなか難しいところです! 自分の経験ではシャフトが無理なく回せるくらいにして、テスト燃焼で、燃料が漏れてチロチロと火が付いたら増し締めする みたいな感覚ですが、文章でその表現は難しいのですね (注-1) 完了 ニップルは一旦外しています。 今回組み付け時にねじ込みやすいようにスピンドルシャフトネジ部にモリブデングリスを塗ってみました。。。 さあ これにて各部のメンテナンスは終わり、バーナーカップ等組み上げてテスト燃焼します。(注-1) 下のリンクは、最初の燃焼テストの様子(タイムラプスです) リンクは別ウィンドにコピペで見られます。 https://www.youtube.com/shorts/hh0JHZfFx7E そしてどうも調子が悪い燃焼状態・・・・リンクは別ウィンドにコピペで見られます。 https://www.youtube.com/watch?v=T0T0CWW-pgY そこで、ニップルのジェットホールを念入りに再整備して、やっとここまで燃焼するように! リンクは別ウィンドにコピペで見られます。 https://www.youtube.com/shorts/MQ3Jdvww_Tw 負荷テスト! 上手く行っているようです。 (注-1) 重要事項 テスト燃焼時にもしこの部分から燃料が滲む程度ならまだしも、もしダダ漏れしちゃうと、かなり面倒(やばい)なことになるので 整備が終わったら燃料入れる前に必ず気体で漏洩テストを行うべきです(厳守!) 幸いなことに9063は加圧式ストーブなので、加圧ポンプがちゃんとしていれば、他の工具を使わずに簡単な加圧テストが単体で出来るのがいいところです! スピンドルシャフト(火力調整)をまず目一杯締めて消火状態にします。タンクキャップやポンプ部が確実に取り付けられているのを確認後 燃料を入れずに空気だけでタンク内の加圧テストを行い、前出のポンプ部のNRV、タンクキャップ部のパッキン&SRVなどその部分から漏れていなければ 第一段階クリアとなりますが、 それを目視で確認するため、そのキャップや接続部分に濃い目の石鹸水を塗ります。漏れていれば当然プクプクとシャボン玉泡吹き状態になりますので・・・ あとジェットニップルのホールや取付ねじ込み部にも石鹸水を塗布し、そこからも漏れていないか確認します。 シャボン玉泡がでてなければ、OK そしたらスピンドルシャフトを少し緩めてみて、そこでジェットホールから泡がでるならOK。 スピンドルシャフトが正常に開閉できている最低限の判断になります。 もしシャフトを締め切っていてもニップルから泡が出るようならば、スピンドルシャフトによる燃料の開閉が上手く機能していないことになります。 (この状態だと、もし燃焼させると消火できないことになりますので、これちょっと厄介ですね) これをもし液体燃料入れてやると、ジェットホールから噴水のように液体燃料が10〜20cmくらい吹き上がります。 (ガソリンだと近くに火気があるとあっというまに引火して火柱になりますので、要注意です。) でもガソリン専用ストーブの場合、テストとはいえ液体燃料の代わりに水などを入れるのはタンクの防錆とかの関係でよくないので、 液体で代替えの安全なものがテストで使え無いのが難点ですね。 これが灯油や軽油を使えるマルチフューエルストーブならば、常温液体状態では引火性の比較的低い灯油などが使えるのですが、、、 (それでもこの行為を室内でやることは推奨できません。火気がなくても室内が灯油臭くなります。) 横道にそれましたが、以上上記テストをクリアすればとりあえずニップルまでは漏洩チェックOKです。 しかし次の問題はシャフトパッキン部分の漏洩のチェックです。 ここを気体でチェックするには、加圧後にジェットニップルの穴を指で塞いでおくか、(あるは外して指で塞ぐか)して、 スタフィイングボルト部に石鹸水を塗り、シャフトを燃焼側に緩め、ボルト部より漏れがなければ漏洩の簡単なテストにはなりますね。 実際にはニップルとバーナーのねじ込みの取付部にも微細な漏洩などがあると上手く燃焼しません。 エアーである程度の漏洩の無いことを確証したらテスト燃焼に入り、徐々に各部の熱の影響による事象の変化をみて再確認を行うことになります。 特に加圧式の液体燃料ストーブ(ランタンも同じですが)は常温時でも燃料が加圧されている分、テストには最新の注意と時間の経過と観察。そして再整備が必要です。
by coolys1
| 2022-04-29 12:46
| STOVE & LANTERN
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